宅建の成り立ちが書かれた論文を読んだ話

高齢者相談 2024.11.07

今回は「一般財団法人 不動産適正取引推進機構」が発行している「不動産取引に関する資格・試験制度の変遷」という論文を読んだので、その内容を簡単にお伝えしようと思います。

詳細は論文掲載ページを下記にリンク貼付しておりますので、興味のある方はご確認ください。

https://www.retio.or.jp/attach/archive/97-009.pdf

 

宅地建物取引士の資格が必要となる理由

  1. そもそも不動産会社(宅地建物取引業)として営業するために、国土交通大臣または都道府県知事の免許が必要になります。
  2. 免許を取得するためには事務所ごとに一定数の専任の宅地建物取引士が必要になります。
  3. 宅地建物取引士になるには、宅建業法で定められた資格試験に合格する必要があります。
  4. 資格試験は1988年度から一般財団法人不動産適正取引推進機構が、国土交通大臣の指定を受けて実施しています。

宅地建物取引士資格試験は年々需要が高まっている

この宅建試験は年々人気が高まっており、直近の受験状況は下記の通りです。

2022年の受験者数は約22万人で合格者は約3.8万人

2023年の受験者数は約23万人で合格者は約4万人

2024年の受験者数は約24万人で、現時点で合格者数はまだ発表前のため不明

宅地建物取引士の最初の名称は宅地建物取引員だった

現在人気のある宅地建物取引士は、はじめは宅地建物取引員という名称でスタートしたのが始まりです。

というのも当初は宅地建物取引業は登録制でした。

ただ当時は未登録業者や必要最小限の知識すら有しない人が不動産業者として取引するケースがあり、これらが問題となったため宅地建物取引員試験というものができました。

また事務所ごとに宅地建物取引員を専任の取引主任者として1人以上置かなければいけないという事も併せてできました。

宅地建物取引員から取引主任者へ

昭和39年に法改正があり、宅地建物取引員の名称が登録を受けた正規の業者であるという誤解を招きやすいため、取引主任者へと名称が変わりました。

取引主任者登録制度の創設と取引主任者に対する監督強化

昭和46年には取引主任者登録制度の創設と取引主任者に対する監督強化等の改正が行われました。

それまでは取引主任者の職務や責任などについての規定がなく、不当不正な行為に対する責任追及も十分ではなかったため、取引主任者に対する監督処分等の整備が行われました。

取引主任者証制度の創設と取引主任者増員

昭和55年の改正では宅地建物取引主任者証制度の創設や講習受講義務、専任の取引主任者増員等の改正が行われました。

これは取引主任者の名義貸しを防止するためと重要事項説明の責任を明確化するために、重要事項説明を説明する際にはこの取引主任者証を提示するよう義務化となりました。

また宅建業法関連の改正等が頻繁に行われるため、知識を十全なものにするための処置として取引主任者証の交付を受けようとするものは法定講習を受講しなければならないとの規定が追加されました。

指定試験機関制度の導入

昭和61年の改正では宅建試験について指定試験機関制度が設けられ、これが冒頭にお伝えした「一般財団法人 不動産適正取引推進機構」が試験機関に指定されました。

取引主任者の登録要件が強化

昭和63年のバブル期に不当な取引を防止するため取引主任者は宅建試験に合格した者かつ2年以上の実務経験を有するものかそれと同等以上の能力を有すると大臣が認めた者というように取引主任者になるための要件が強化されました。

取引主任者の登録要件緩和

平成7年に上記の2年以上の実務経験や同等以上の能力を有する者の要件は廃止されました。

併せて試験問題の一部を免除する講習制度も導入されました。

取引主任者から取引士へ

平成26年の法改正で宅地建物取引主任者から宅地建物取引士に名称が変更されました。

おわりに

上記のような流れで現在の宅地建物取引士へと名称が変わっていったようです。

ご興味のある方は宅建試験を受験してみてはいかがでしょうか?

最後までご覧いただきありがとうございます。

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